湯立神楽(ゆだてかぐら)

「湯立神楽」(ゆだてかぐら)は湯花神楽(ゆばなかぐら)や鎌倉神楽とも呼ばれ、もともと鶴岡に於いて職掌(しきしょう)と呼ばれる人達によって奉納されていた神楽です。

 職掌の制度は明治になって廃止されましたが、新編相模国風土記稿の鶴岡八幡宮職員表の職掌八家の内に佐野の名が見られ、富岡八幡宮の社掌と兼帯していたものと見られます。 

 現在は旧職掌家を中心に伝えられており、富岡八幡宮では9月の秋季大祭のほか、2月と11月の初卯の日に卯陪従の夜神楽として行われています。 

 江戸時代には 個人の祈願にも湯立神楽が奉納され、芝赤羽根町久留米様御屋敷内大々神楽の日掛講帖や嘉永年間に江戸の商人連より奉納の唐金の大釜なども遺されています。

第62回神宮式年遷宮 宇治橋御用材使用 太鼓(宮元卯之助商店 奉製)

平成27年秋季大祭打ち始め

演目

羽能(はのう)

 初めの第一座目に舞う神楽で扇子に米を載せ
四方拝の舞の後、米を四方に撒く


 四方の神と神楽座の神に米を撒供(さんく)をして
お鎮まりいただく神楽

お祓い(おはらい)

 特殊な祓串を以て、天地人の祓いをする神楽で 
神楽座の四方と釜場を祓い清める

祝詞(のりと)

 祓いの後、祓串と御幣を重ね持ち、米を打撒きをして
鈴を振りながら神楽の祝詞を奏す

御幣招(ごへいまねき)

 御幣を捧げて四方拝の舞の後、御幣を左・右・左と振って
四方を舞う


 御幣によって四方より大神等の恩頼(みたまのふゆ)を
招き寄せる神楽

掻湯(かきゆ)

 四方拝の舞の後、御幣の柄で釜の湯をグルグルと掻き回し
釜の中央からフツフツと湯花(ゆばな)を立てる


 湯花の立ち具合で吉凶を占ったともいわれ 
これにより湯花神楽(ゆばなかぐら)ともいわれる

射祓(いはらい)

 弓矢を扇面に戴き、四方拝の舞の後

四方・天地に矢を射放って、厄災を退ける

湯座(ゆぐら)

 笹の葉の束をもって四方拝の舞の後、釜の熱湯に笹を浸し
これを左右に振ってしぶきを散らす


 それを浴びる事によって邪気を祓い、無病息災であるといわれる舞

剣舞(けんまい)

鼻高(てんぐ)の面を着け、鉾を持って四方を舞う

九字(くじ)を切って呪文を唱え、天地をおさめる


最後の舞

*写真は『秋季大祭』大祭式における「湯立神楽」

*秋季大祭では本殿の前にて神楽を奉納致します